寝起きの腰痛とマットレスの選び方|硬さより腰のすき間で決める
▼この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤と下半身の構造改善を得意とする。
「朝、目が覚めた瞬間に腰が重い。起き上がるのに時間がかかる」。寝起きの腰痛でマットレスの選び方を調べ始めた方から、この相談をよく受けます。売り場には高反発、低反発、体圧分散と言葉が並び、価格も数千円から数十万円まで開いています。
何を基準にすればよいのか、判断のしようがありません。
寝具を替えた方の体を見てきた立場から申し上げると、マットレス選びで先に決めるべきなのは硬さの数値ではありません。仰向けに寝たとき、腰と寝具のすき間がどれだけ空いているか。ここを測ってから選ぶかどうかで、買い替えの成否が分かれます。
本記事では、寝起きの腰痛とマットレスの関係を、買う前の切り分けから硬さの判断基準、枕との組み合わせ、試用期間と返品条件の確認点まで、施術者の視点で順を追ってお伝えします。
この記事でわかること
- 寝起きの腰痛でマットレスの選び方を判断する順番
- やや硬めが正解とは限らない理由と、体格による違い
- 買う前に今の寝具で確かめる方法と、腰のすき間の測り方
- 試用期間と返品条件で確認する項目、医療機関へ相談する目安
寝起きの腰痛でマットレスを選ぶなら硬さの数値より腰のすき間で決まる

結論から申し上げます。仰向けに寝たとき、腰の反りの部分と寝具のすき間が2センチから3センチに収まっているかどうかが、最初の判断基準です。
この数字には根拠があります。厚生労働省の健康情報サイトであるイーヘルスネット「快眠のためのテクニック」では、寝た姿勢でもっとも体への負担が少ないのは、腰の部分のすき間が2センチから3センチのときだと説明されています。
同じ記事は、柔らかすぎると腰が深く沈み込んで腰痛の原因になり、硬すぎると骨が当たって痛みが出たり血流が妨げられたりするとも述べています。
つまり、硬さは目的ではなく手段です。硬さの数値がいくつであっても、あなたの体重と体型でそのすき間に収まるなら合っている、収まらないなら合っていない。判断はここに集約されます。
| 確かめる順番 | 内容 |
|---|---|
| ①痛みの出方 | 寝起きだけか、一日続くか。切り分けてから買う |
| ②腰のすき間 | 仰向けで手を差し入れ、2センチから3センチに収まるか |
| ③寝返り | 力を入れずに横を向けるか。夜中に何度も目が覚めないか |
| ④枕との組み合わせ | マットレスを替えたら枕の高さも変わる |
| ⑤試用と返品 | 期間、送料負担、開封後の可否を購入前に確認する |
買う前に寝起きだけの腰痛か一日続く腰痛かを切り分ける

ここで見落とされがちなのが、そもそもマットレスを買うべき状態かどうかという判断です。
寝具が関係している腰痛には特徴があります。起きた直後がもっともつらく、動いているうちに軽くなっていく。日中は気にならず、翌朝また同じ状態に戻る。この形であれば、寝ている間の環境を疑う価値があります。
| 痛みの出方 | 考えられること | マットレスの買い替え |
|---|---|---|
| 起きて30分から1時間で軽くなる | 寝ている間の姿勢や寝具の影響 | 検討する価値がある |
| 夕方から夜にかけて強くなる | 日中の姿勢や作業の負担 | 替えても変化は出にくい |
| 一日を通して変わらない | 寝具以外の要因が中心 | 先に原因の見立てを立てる |
そして、次のような状態があるときは、寝具を探す前に整形外科へご相談ください。日本整形外科学会も、これらの症状があればすみやかに受診するよう呼びかけています。
- 安静にしていても痛みが軽くならない。日ごとに悪化していく
- 発熱を伴っている
- 脚がしびれる、または力が入らない
- 尿や便が漏れる、出にくい
- 転倒やぶつけたあとから痛みが続いている
もう一つ、注意していただきたいパターンがあります。朝のこわばりが30分以上続き、動いてもなかなか楽にならず、夜間に痛みで目が覚める。若い頃から続いている場合はなおさらです。
この形は寝具の問題とは異なる背景が考えられるため、自己判断で寝具を替え続けるより、一度診てもらうほうが確実でしょう。
やや硬めが正解とは限らないのは体格で沈み方が変わるから

ここで視点を反転させましょう。腰痛にはやや硬めがよい、という説明を何度も目にした方は多いはずです。
間違いとは言い切れません。ただ、同じ硬さのマットレスでも、体重50キロの方と80キロの方では沈み込む量がまるで違います。硬さの数値は製品の性質であって、あなたの寝姿勢を保証するものではないのです。
実際、体重の軽い方が硬めを選ぶと、お尻と背中だけで体を支える形になり、腰が浮いて負担が集まります。逆に体重のある方が柔らかめを選ぶと、腰から下が沈んで体が折れ曲がった形になります。硬さの表示(ニュートンの数値)は比較の目安にはなりますが、それだけで決められるものではありません。
売り場でよく見かける体圧分散という言葉は、体重を一点に集めず面で受け止める性質を指します。ただ、体圧分散をうたう製品どうしでも硬さの幅は大きく、名前だけでは比べられません。表示を読むより、寝て手を差し入れて確かめるほうが早いところです。
体型による違いもあります。お尻の出っ張りが大きい方、いわゆる反り腰の傾向がある方は、同じ体重でも沈み方や腰の浮き方が変わってきます。ご自身の姿勢のクセが気になる方は、反り腰の原因と改善もあわせてご覧ください。
マットレスは4つの点で選ぶ

ここまでの整理を、売り場での判断に落とし込みます。
硬さは腰のすき間が2センチから3センチに収まるかで決める
店頭で試すときは、必ず仰向けで寝てください。そのうえで、腰の下に手を差し入れます。手のひらがすっと入って余裕がある場合は沈み込みが足りず、腰が浮いている状態です。逆に手が入らないほど密着していれば、沈みすぎている可能性があります。
手のひらの厚みがちょうど収まる程度が目安になります。
寝返りは力を入れずに横を向けるかで判断する
先ほどのイーヘルスネットの記事では、寝返りには同じ部位が圧迫され続けて血液の巡りが滞るのを防ぐ働きがあり、寝具が合っていないと寝返りの回数が増えると説明されています。多ければよいわけでも、少なければよいわけでもありません。
店頭では、仰向けから横向きへ、腕や脚の反動を使わずに回れるかを試してください。体を持ち上げないと向きを変えられないマットレスは、夜のあいだ何度もその労力を求めてきます。
体格との相性は同行者と一緒に確かめる
二人で使う場合、体重差が大きいほど一枚での調整は難しくなります。片方に合わせると、もう片方が沈みすぎるか浮くかのどちらかになるためです。分割できるタイプや、上に重ねる薄いマットレスで個別に調整する方法もあります。売り場では、実際に使う二人で並んで寝てみてください。
厚みと耐久性は数年後の状態を想定して選ぶ
床や畳に直接敷く場合、薄いものだと底に当たる感覚が出ます。ベッドで使うなら、フレームの床板が板状かすのこか、スプリング入りかでも沈み方が変わります。同じマットレスでも下地が違えば別の寝心地になるため、今のベッドをそのまま使うのかどうかも先に決めておいてください。
厚みの目安は、ベッドフレームの上か床置きかで変わります。また、へたってきたマットレスは中央部分が沈み、買った当初とは別物になります。数年後にへたった状態が、そのまま毎晩の寝姿勢になると考えて、密度や保証年数も見ておいてください。
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枕を合わせないとマットレスだけ替えても寝姿勢は整わない

ここは見落とされやすいところです。マットレスを替えると、体の沈み込む量が変わります。すると首の角度も変わるため、それまで合っていた枕が高すぎたり低すぎたりします。
イーヘルスネットの同じ記事によれば、枕は立った姿勢に近い自然な体勢を保つためのもので、首のすき間に合った高さが必要とされています。仰向けで首が軽く前へ傾く程度が目安です。
マットレスを買い替えたら、最初の1週間は枕の高さも一緒に見直してください。タオルを1枚重ねる、あるいは抜くだけで印象が変わることがあります。
横向きで寝ることが多い方は、肩の高さの分だけ枕が必要になるため、仰向けのときとは条件が異なります。寝ているときの肩の痛みが気になる方は、寝ると肩が痛い原因も参考になるはずです。
買う前に今の寝具で1週間ずつ試すと必要なものがわかる

ここで、施術の現場に立ってきた立場から本音を申し上げます。マットレスは数万円から数十万円の買い物です。買ってから合わなかったと気づくより、今の寝具で方向性を確かめてから選ぶほうが確実だと考えています。
方法は3つあります。それぞれ1週間ずつ試してください。
- 腰の下にタオルを1枚たたんで敷いて寝る。楽になるなら、今の寝具は沈みすぎている可能性がある
- 今の寝具の上に薄い敷き布団やトッパーを重ねる。楽になるなら、硬すぎて体が接していない可能性がある
- 膝の下にクッションを入れて寝る。楽になるなら、寝具より腰の反りが課題である可能性がある
3つ目で変化が出た方は、買い替えを急ぐ必要はないかもしれません。体の側の柔軟性が関係している場合、新しいマットレスを入れても同じことが起こります。体の硬さそのものが気になる方は、体を柔らかくする方法から始めるほうが順番として合っています。
試用期間と返品条件は購入前に確かめておく

方向性が決まったら、購入時の条件を確認します。通販で買う場合はとくに重要です。
- 試用できる期間は何日か。開始日は到着日か、開封日か
- 返品時の送料はどちらの負担か。返送方法は指定されているか
- 開封後や使用後でも返品できるか。カバーの使用が条件になっていないか
- 返金か、交換のみか。交換の場合は硬さ違いを選べるか
- 店舗で試着した場合、同じ条件が適用されるか
あわせて、判断の期間についても知っておいてください。新しい寝具は、体が慣れるまで数日から2週間ほどかかることがあります。1泊で合わないと決めるのは早すぎます。
逆に、2週間試して朝の状態が変わらないのであれば、それは相性の問題として受け止めてよいでしょう。試用期間が2週間を切る商品は、この見極めができない点を承知のうえで選んでください。
なお、医療用と表示された製品も見かけます。一般に販売されている寝具は、医療機関で扱う体圧分散のための用具とは別のものです。表示の言葉ではなく、実際に寝たときの腰のすき間で判断してください。
寝起きの腰痛とマットレスについてよくある質問

高反発と低反発はどちらがよいですか
体格と寝姿勢によります。高反発は沈み込みが少なく寝返りしやすい傾向、低反発は体の形に沿いやすい傾向がありますが、どちらにも硬さの幅があります。分類名で選ぶより、実際に寝て腰のすき間を確かめるほうが確実です。
敷き布団のほうが腰にはよいのでしょうか
一概には言えません。床に敷く布団は薄いと底に当たり、厚みのあるマットレスは沈み方が製品で大きく変わります。判断の基準は形状ではなく、仰向けになったときの腰のすき間です。
買い替えの目安になる年数はありますか
製品や使い方で幅がありますが、中央部分がへこんでいる、寝返りのたびに体が真ん中へ寄る、以前より朝の腰が重いという3つがそろえば、寿命を考える時期でしょう。仰向けに寝て、腰のすき間が以前より広がっていないか確かめてみてください。
マットレスを替えるまでにできることはありますか
あります。膝の下にクッションを入れて仰向けで寝る、横向きのときは膝のあいだにクッションを挟む。どちらも腰の反りを減らす工夫で、今夜から試せます。腰の痛みそのものの背景は腰の痛みの原因で整理しています。
マットレスを替えたら朝の腰痛はなくなりますか
寝具が主な要因だった場合は変化が出ますが、そうでない場合は変わりません。日中の姿勢、体の柔軟性、寝返りの打ちやすさなど、寝具の外側にある要因も同時に見ていくほうが確実です。
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まとめ|寝起きの腰痛でマットレスの選び方に迷ったら腰のすき間から見る
寝起きの腰痛とマットレスの選び方で最初に確かめるのは、硬さの数値でも製品の分類でもありません。仰向けに寝て、腰と寝具のすき間が2センチから3センチに収まっているか。そして、力を入れずに寝返りが打てるか。この2点です。
買う前に、今の寝具でタオル1枚、トッパー1枚、膝下のクッションを1週間ずつ試してください。どれで楽になるかが、次に選ぶべきものを教えてくれます。
そして、痛みの出方が寝起きに限らないとき、安静にしていても軽くならないとき、しびれや脚の力の入りにくさ、発熱、尿や便の異常があるときは、寝具を探す前に整形外科へご相談ください。
CUREPROは完全自費で、痛む場所だけでなく体全体のつながりから構造を整える整体院です。朝の腰痛や寝起きの背中の痛みのご相談では、寝具の状況を伺ったうえで、股関節と胸まわりの動き、そして寝返りの動作そのものを検査しています。
マットレスを替えても変わらなかったという方こそ、体の側で何が起きているかを一度確かめてみてください。東京・埼玉・千葉の10院でお待ちしています。
この記事の監修者
阿部純治(あべ じゅんじ)
柔道整復師(国家資格)/CUREPROグループ代表
中央医療学園専門学校(現:日本総合医療専門学校)卒業。整形外科クリニック・大手整骨院グループ等での勤務経験を経て、2011年創業。施術歴20年、延べ5万人以上の施術実績。骨盤と下半身の構造改善を得意とする。